免疫とLPS
LPS研究の歴史
LPSは現在に至るまでに様々な人体に有用な働きが解明されています。
LPSの機能性の発見は四半世紀以上も前に遡ります。1982年より自然免疫に着目した研究を行っていた東京大学名誉教授 水野傅一博士らは、1988年にマクロファージを活性化する物質を小麦粉の洗浄液中から発見します。そして、その後の調べで、マクロファージを活性化する物質は小麦成分そのものではなく、小麦に共生しているグラム陰性細菌に由来する糖脂質(LPS)であることがわかりました。
そもそもグラム陰性細菌のLPSは、100年以上前から細菌学者の研究対象の一つとなっていましたが、その頃は内毒素ともよばれ、菌の病原因子、および免疫刺激因子として認識されていました。水野氏らの発見により、LPSに対する概念は大きく変貌し、LPSは現在に至るまでに様々な人体に有用な働きが解明されています。1992年には水野氏らによってLPSがアトピー性皮膚炎や高脂血症の改善、胃潰瘍予防、LDLコレステロールの低下等、LPSの効果についての研究論文が発表されたほか、1997年にはチャールズ・ジェニュウェイ博士(米国)がLPS受容体を哺乳類で発見。2008年にはA.Guenichie氏(仏)らがLPSを持つ微生物が、アトピー性皮膚炎に対する改善効果を示すという論文を発表するなど、LPSは今もなお世界で研究が進められています。
1982年
免疫機能の研究スタート
東京大学名誉教授 水野傳一博士らにより、マクロファージの制御に的を絞った健康維持についての研究がスタート
1988年
LPSを発見
小麦の水洗浄液からマクロファージ活性化作用のある物質を発見。その物質がLPSであることが判明
1992年
水野傳一博士が論文を発表
アトピー性皮膚炎や高脂血症の改善、胃潰瘍予防、LDLコレステロールの低下等、LPSの効果について研究結果を論文発表
1997年
チャールズ・ジェニュウェイ博士(米国)が論文を発表
マクロファージ細胞等に発現しているLPS受容体を哺乳類で発見
2001年
S.J.Seo医学博士(韓国)らが論文を発表
韓国中央大学病院皮膚科のS.J.Seo医学博士らが、LPSの刺激を受けたケラチノサイトが生体内抗菌物質であるβディフェンシン発現を論文発表
2006年
国内にてLPSの量産化がスタート
自然免疫応用技研、行政や各種研究所、NPO法人、企業等、産官学の連携によりパントエア菌LPSの量産化がスタート
2008年
A.Gueniche(仏)氏らが論文を発表
A.Gueniche氏(仏)らが、グラム陰性細菌「Vitreoscillafiliformis」のアトピー性皮膚炎に対する改善効果を英国医学雑誌で論文発表
2010年
経済産業省認可の自然免疫制御技術研究組合が設立
LPSの有用性を研究するための組織として、経済産業省認可の自然免疫制御技術研究組合が設立
2013年
Lin Chen医学博士(米)らが論文を発表
イリノイ大学歯学部のLin Chen医学博士(米)らが、LPS受容体が皮膚の創傷治癒に重要な役割を果たしていることを論文発表
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